管理組合は区分所有者全員で構成
マンションの管理組合は、法的には「権利能力なき社団」となります。権利能力なき社団とは、実質を備えていながら法令上の要件を満たさないため法人格を有しない社団で、町内会や学会、サークルなども同じです。また、区分所有法では、「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる(第3条)」としています。
そして、この法律に基づいて、多くのマンションが、総会を開催し、管理規約を定め、理事長を選任して、管理組合を運営しています。まれに、勘違いをした組合員が、輪番制でたまたま理事長になったりすると、その権限で何をしてもよいかのように振る舞う人がいたりしますが、実際には、法令はもとより、管理規約やそれまでの総会決議にしたがって、管理組合を運営しなければなりません。
また、多くの管理組合は、その管理規約で理事会を設置しています。よって、実際の業務執行は理事長に副理事長や会計担当理事などの理事を加えた理事会で行うこととなります。なお、大規模修繕工事などの特別な事象を扱う際には、理事会とは別に専門委員会を設置することも一般的です。
総会こそが意思決定機関
マンション管理組合の「意思決定機関」は総会です。理事会ではありません。理事会は総会の意思を実現するための「業務執行機関」です。総会は年1度は必ず開催をしなければなりません。
きちんとした管理ができていないマンションでは、総会の出席者は当期の理事と次期の理事だけという管理組合も珍しくありません。管理会社や理事の人たちがうまくやってくれているはずという希望的観測のもとに、面倒な事には関わりたくないというのが人情ではあります。
しかし、そうした他人任せの姿勢は、せっかく手に入れたはずのマンションの資産価値を大きく損なう結果につながります。特に、輪番制で1年ごとに理事が総入替えとなるマンションでは、継続して状況を把握しているのは管理会社のフロントマンだけということになり、管理組合の運営が管理会社の意見に左右されがちになります。
マンション管理組合の意思決定機関は総会です。組合員は誰でも総会に出席して意見を述べることができ、マンション管理の意思決定に参加することができる仕組みになっているのです。他人任せの姿勢は、マンションの資産価値を大きく損なう結果につながります。
輪番制と役員報酬
役員を輪番制で決めているマンションの管理組合は多いと思います。いきなり順番で理事になっても何をしてよいかも分からず、結局は管理会社から言われるがままに業務をこなして任期が終了するのを待つという理事の方も多いでしょう。
しかし、こうした理事会が続いていると、結果として住民主体のマンション管理は実現できず、当面の日常管理はなんとか成り立っていても、長期的な視点で考えなければならない大規模修繕工事の時などにそれまでの問題が顕在化します。
管理会社や理事の人たちがうまくやってくれているはずという希望的観測のもとに、面倒な事には関わりたくないというのが人情ではあります。しかし、そうした他人任せの姿勢は、せっかく手に入れたはずのマンションの資産価値を大きく損なう結果につながります。
理事長をはじめとする役員の職務には大きな責任が伴います。本来は輪番制を早期に見直し、やる気のある住民には役員報酬を支払ってでも管理体制を整えるべきです。しかし、管理がきちんとできていないマンションの管理組合ほど、報酬支払いのような支出を嫌がる傾向があるのもまた現実です。